私は、第二子が1歳の頃に、会社を辞めました。その決断に至った理由は、いくつもありますが、港区に住んでいたこともきっかけの1つだったと思っています。
わたしがバリキャリだったころ
育休に入る前、上の子は朝7時半に登園し、夕方6時半にお迎えに行っていました。クラスの中で1〜2番目くらいに早く行き、1〜2番目に遅く帰る、という生活でした。
会社内で育児と仕事の両立について先輩社員たちの話を聞く機会は何度もありましたが、「保育園ではお迎えはいつも最後の一人」というのは社内の育児あるあるネタになっていました。
「病児保育に登録して子供が病気でも働ける」とか「延長保育をお願いして夕飯まで保育園で食べてもらってる」とか、それを武勇伝のように話す先輩社員たち。心の底からそれを誇らしく思っているのか、自分の評価をあげるためにアピールしているだけなのかは分かりません。
港区に住むファミリー
私は、第二子の育休を取得している頃は、港区に住んでいました。いまや、港区のマンションはどんなに安くても1億5千万円以上はします。夫婦共にばりばり働くパワーカップルでぎりぎり手が届くかどうか、そんな価格帯ですので、サラリーマンは少数派です。同じマンションの住人や保育園の保護者たちは、医者や弁護士、会社経営者、外国人が多かったです。
育休中は、保育時間が短くなり、朝9時に送り、夕方5時にお迎えに行きます。この時間帯に送り迎えする保護者は結構多く、クラスの半分以上を占めていました。一体どんな仕事をしている人たちなのか見た目からは全くわかりませんが、穏やかに子供とおしゃべりしながら登園・降園している姿を見て、「こんな優雅な生活が世の中にはあるのか」と、私の中でパラダイムシフトが起きました。
もし違う街に住んでいたら
もし私がサラリーマンの多い地域(例えば、湾岸、目黒、横浜、二子玉川等)に住んでいたら、パラダイムシフトは起きず、子供を最大限保育園に預けてバリバリ働く生活をしていたのではないかと思います。それはそれで、同じような境遇の人に囲まれて、快適に感じていただろうと思います。
ただ、今は、港区の穏やかな生活を目の当たりにして、こっちの生活が私の理想だなと思っています。登園時に「早く!早く!」と子供を急かさなくていい、保育園について「トイレ行きたい」と言われても慌てない、降園時に「公園行きたい」と言われたら遊びに行ける、そういう気持ちの余裕があることが、とても幸せです。
もし私が住んでいるのが港区ではなく、サラリーマンの多い地域(例えば、目黒や横浜)であれば、また違った感情を抱いたのかもしれません。また、もし会社でもっと活躍していて、仕事にやりがいを感じていたなら、保育園に長時間子供を預けて仕事に没頭する生活に誇りを持てたかもしれません。